この記事の要点
- L-テアニンの摂取が、ストレスに対する身体反応や睡眠の質などの指標に影響を与える可能性が報告されています。
- エビデンススコアは68であり、信頼性は中程度です。
- 日常的なストレスを感じているときや、睡眠の質を気にしている方に向けた研究データです。
L-テアニンとは、特定の成分の一つです。
一般的に摂取されるものとして扱われています。
L-テアニンの摂取によって、ストレスを感じる時の体の変化や感じ方が変わる可能性が示唆されています。
例えば、実験の中で意図的にストレスを与えるような状況を作った際、心拍数や唾液に含まれる特定の成分に変化が見られるという報告があります。12名という比較的小規模な人数が参加したこの研究では、(薬と同じように見えるが、有効成分を含まない偽の物質)を摂取した場合と比べて、ストレスによる体の反応が抑えられる傾向が示されました。 つまり、急なストレスを受けた時の身体的な反応に関わる可能性が考えられています。
また、複数の作業を同時にこなすといった、精神的に忙しい状況における影響も調べられています。34名の健康な大人が参加したこの研究では、摂取から1時間後に感じられる主観的なストレスが、偽の物質を飲んだ場合よりも低かったという結果が出ています。 この調査は(参加者をランダムに分けて効果を比べる、信頼性の高い研究方法)という手法で進められました。つまり、一時的な負荷に対しても影響を与える可能性が検討されています。
日々の生活の中で気になる睡眠の質や、気持ちの状態との関わりについても調査が行われています。
28日間、毎日200mgを継続して摂取した30名の健康な大人を対象とした研究では、睡眠の質を測る指標に変化が見られました。 これに加えて、不安感や落ち込みの程度を評価する尺度においても、数値が減少したという報告があります。こうした結果は(得られた結果が偶然ではなく、意味のある違いである可能性が高いことを示す数値)をもって示されました。つまり、継続的な摂取が睡眠などの感覚に影響を及ぼす可能性が検討されています。
マウスを用いた実験によって、よりミクロな細胞の仕組みにおける影響も研究されています。
心臓の組織に関わるモデルのマウスを用いた実験において、細胞の損傷を抑える働きが示唆されました。この研究は、細胞が自ら死んでしまうアポトーシス(細胞が特定のプロセスを経て死ぬ仕組み)や、酸化ストレス(体の中で発生する活性酸素などによる細胞へのダメージ)に関連しています。 つまり、細胞が受けるダメージを抑制することで、組織の損傷を軽減する可能性が報告されています。
| 研究 | デザイン | 対象者数 | 期間 | 主な結果 |
|---|---|---|---|---|
| Biological psychology(2007・PMID:16930802) | ランダム化比較試験(RCT) | 12名 | 不明 | 良い影響が報告された |
| Nutrients(2019・PMID:31623400) | ランダム化比較試験(RCT) | 30名 | 28日間 | 良い影響が報告された |
| Nutrients(2016・PMID:26797633) | ランダム化比較試験(RCT) | 34名 | 不明 | 良い影響が報告された |
| Molecular medicine (Cambridge, Mass.)(2024・PMID:38943069) | 動物実験 | 不明 | 不明 | 良い影響が報告された |
どんな人を対象にした研究?
研究の対象者には、実験設定下での成人12名、精神疾患のない健康な成人30名、そして18歳から40歳の健康な成人34名の情報があります。また、MIRI(心筋虚血再灌流傷害)モデルマウスを用いた研究も行われています。
これらの研究は、主に健康な成人を対象としています。そのため、日常生活においてストレスを感じている健康な大人が、自身の状況と照らし合わせる際の材料となります。
注意点・限界
今回のデータには4件の研究が含まれています。その内訳はランダム化比較試験(RCT)が3件、動物実験が1件です。
対象についても、人間の成人のほかにマウスを用いた研究が含まれています。そのため、すべての結果を人間へそのまま適用できるわけではありません。
また、研究の条件も多岐にわたっています。特定の期間や用量で行われたものから、実験的な設定下で行われたものまで存在します。
L-テアニンはストレスに対してどのような影響があるという報告がありますか?
L-テアニンの摂取により、心理的および生理学的なストレス反応が軽減されるという研究が報告されています。具体的には心拍数や、唾液中の分泌型免疫グロブリンAの反応への影響に関する内容が含まれます。
L-テアニンの摂取と睡眠の関係について教えてください。
精神疾患のない健康な成人を対象とした研究において、L-テアニンの摂取後に睡眠の質を示す指標のスコアが低下したことが示されています。これは4週間の摂取に関連して報告されています。
L-テアニンに関する研究にはどのような種類がありますか?
人間を対象としたランダム化比較試験(RCT)と、マウスを用いた動物実験の両方が確認されています。エビデンススコアは68です。
L-テアニンの安全性については、ヒトを対象とした複数の臨床試験で調べられています。
重篤な有害事象は報告されていません。 2026年に発表された31件のランダム化比較試験(合計1,168名)をまとめた解析では、有害事象を偽薬(プラセボ:有効成分を含まない見た目が同じもの)を摂取したグループと比べたうえで、「重篤な有害事象は報告されなかった」とまとめられています。個々の試験では、軽い胃腸の不調・頭痛・いらだちといった軽度の内容が報告されたものもありますが、その頻度は偽薬を摂取したグループと大きく変わらなかったと報告されています。ただし、体質によって合わない場合もあります。
研究で調べられている摂取量。 試験で用いられた量は1日あたり200〜400mgが中心で、8週間にわたって最大900mgを用いた試験も報告されています。一方で、公的機関が定めた1日あたりの摂取上限量は今回の調査では見当たりませんでした。これは「上限がない」という意味ではなく、上限が設定されていないという事実を指します。
薬を服用している方は。 降圧薬(血圧を下げる薬)・精神刺激薬・睡眠薬などとの飲み合わせについては、理論上の指摘はあるものの、それを実際に確かめた臨床研究や報告は今回の調査では見つかりませんでした。念のため、これらの薬を服用中の方は、摂取する前に医師や薬剤師に相談してください。
妊娠中・授乳中の方、お子さんは。 妊娠中・授乳中の方やお子さんへの安全性については、十分なヒトの試験データが見当たらず、「安全」とも「危険」とも確認されていません。実際、海外の申請書類でも18歳未満・妊娠中・授乳中の方は対象から除外されています。該当する方は自己判断で摂取せず、医師に相談してください。
なお、規制の状況としては、米国ではGRAS(企業側の安全性の判断に当局が「異議なし」と回答する制度で、当局による安全性の承認とは異なります)の通知が複数あります。欧州(EU)では、新規食品としての認可手続きは今回の調査時点では完了していません。
いずれの内容も、現時点で確認できた研究や公的資料の範囲でまとめたものです。体調に不安がある場合や、持病・服薬がある場合は、医師や薬剤師に相談してください。
L-テアニンはストレス反応に関わり、睡眠の質などの指標にも影響を与える可能性が研究で示唆されています。これまでのエビデンススコアは68であり、信頼性は中程度です。 ただし、今回の内容は4件の研究に基づいたものであり、マウスを用いた実験も含まれているため、すべての人に当てはまるわけではありません。まずはセルフチェック診断で自分の状態を振り返ってみませんか?

